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用語集

鉄鋼用語集

カネヒラ鉄鋼のオンライン用語集。索引から簡単にお調べいただけます。

あ行

1
I形鋼

Iの字に似た断面をもった形鋼。
注記ISO 6929では、I形鋼とH形鋼の更なる区分として、フランジの幅が呼び高さの0.66倍以下で、かつ、300mm未満のものをI形鋼としている。

2
圧延鋼材

圧延機によって棒鋼、線材、形鋼、鋼板、鋼帯、平鋼などの形状に成形加工した鋼材。
通常、製造業者にて更に熱間圧延されることがないもの。

3
厚鋼板

熱間圧延によって製造した鋼板で、統計を目的とした分類では、厚さ3.0mm 以上のもの。3.0mm以上6.0mm未満のものを中板、6.0mm以上のものを厚板ということもある。
注記ISO 6929 では、統計を目的とした分類では、厚さ3mm以上を厚鋼板と区分することを推奨し、これには冷間圧延によって製造された鋼板も含むとしている。

4
圧力容器用鋼材

圧力容器及び高圧設備用として、強度、溶接性及び主として常温でのじん(靭)性を重視して製造された鋼材。
通常、圧力容器の主要部分に使用される。

5
油焼入れ

冷却に油を用いて行う焼入れ。

6
異形棒鋼

棒状に圧延した鋼で、断面が一般に円形、ときには角の丸い正方形で、4mm以上の直径又は辺をもち、表面に、はざ間模様、突起などをもつ棒鋼。
表面の凹凸は、コンクリートとの付着力を増すためのものである。
鋼材円周表面にふし・その他の突起をつけたものと、冷間ねじり加工でらせん状にしたものとがある。
軸線方向の突起をリブ、軸線方向以外の突起を節という。
注記ISO 6929 では、直径又は対辺距離が少なくとも5mmと定義している。

7
薄鋼板

熱間又は冷間圧延によって製造した鋼板で、通常、厚さ3.0mm未満のもの。薄板ともいう。

8
H形鋼

Hの字に似た断面をもった形鋼。通常、ユニバーサル圧延機によって製造し、平行する各々の二辺が等厚であり、辺の内面の傾斜はない。高さと辺の関係によって細幅(beam)、中幅(beam)及び広幅(column)に区分される。
注記ISO 6929 では、フランジの幅が呼び高さの0.66倍を超えるか、又は300mm以上のものとし、フランジの幅が呼称高さの0.8倍を超えるものを、“コラム(column)”と呼ぶことがある。

9
H鋼

ジョミニー式一端焼入方法によって焼入端からの一定距離における硬さの上限、下限又は範囲を保証した鋼。
主に機械構造用に使用する。

10
オーステナイト

1種以上の元素を含むγ鉄固溶体。

11
厚鋼板

熱間圧延によって製造した鋼板で、統計を目的とした分類では、厚さ3.0mm 以上のもの。3.0mm以上6.0mm未満のものを中板、6.0mm以上のものを厚板ということもある。
注記ISO 6929 では、統計を目的とした分類では、厚さ3mm以上を厚鋼板と区分することを推奨し、これには冷間圧延によって製造された鋼板も含むとしている。

12
オーステナイト系ステンレス鋼

常温においてもオーステナイト組織を示すステンレス鋼。SUS304 がその代表的なものである。

13
応力除去焼なまし

本質的に組織を変えることなく、内部応力を減らすために、適切な温度へ加熱又は均熱した後、適切な速度で冷却する熱処理。

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か行

1
快削鋼

りん、硫黄、鉛、セレン、テルル、カルシウムなどを単独又は複合で添加し、被削性が向上した鋼。

2
角鋼

棒状に圧延又は鍛造した鋼で、断面が正方形をしており、対辺距離が一般には少なくとも8mmの棒鋼。断面の角に丸みをつけたものもある。

3
型鍛造品

製品に要求される形状及び体積を決定する金型を使って、適切な温度で圧力を加えて鋼を成形して得た鍛造品。

4
形鋼

山形、溝形、I形、H形などの断面形状に圧延した鋼材。
注記ISO 6929 では、山形を L形、溝形を U形という。

5
完全焼なまし

Ac3を超える温度における焼なまし。

6
機械構造用合金鋼鋼材

通常、使用に際し、鍛造、切削、引抜きなどの加工と熱処理を行って所期の性質を得て、機械部品に用いる合金鋼鋼材。

7
機械構造用炭素鋼鋼材

通常、使用に際し、鍛造、切削、引抜きなどの加工と熱処理を行って所期の性質を得て、機械部品に用いる炭素鋼鋼材。

8
機械的性質

引張強さ、降伏点又は耐力、伸び、絞り、硬さ、衝撃値、疲れ強さ、クリープ強さなど、機械的な変形及び破壊に関係する諸性質。

9
きずの許容限度

鋼材表面に存在するきずで使用上有害でなく、きず取り不要なきずの大きさ、数などの限度。

10
きず取り基準

鋼材表面に存在するきずを除去する場合の深さ、面積などの限度。手入れの限度ともいう。

11
球状化焼なまし、球状化、 球状化処理

セメンタイト板のような炭化物粒子を、安定な球状の形態へ発達させること。
析出した炭化物の球状化をもたらすために、一般に Ac1温度の近辺で長く均熱する、又はこの温度周辺を振らすことにかかわる焼なまし。

12
強じん鋼

強度とじん(靭)性を向上させて用いる鋼。
機械構造用合金鋼においては、マンガン、クロム、モリブデン、ニッケルなどの合金元素を適量添加し、焼入焼戻しを行って用いる鋼として分類される。

13
キルド鋼

フェロシリコン、アルミニウムなどで十分に脱酸を行った鋼。
鋼塊鋳造による場合は、鋼塊用鋳型(インゴットケース)内での凝固進行中に、一酸化炭素を発生せずに静かに凝固し、比較的均質で偏析が少なく気泡もないが、上部中心に収縮孔ができ、歩留りはよくない。
連続鋳造による鋼は、キルド鋼であり、鋼塊鋳造による鋼に比べ均質で歩留りもよい。
キルド鋼は、更に結晶粒度又は脱酸剤によって次のように分類される。

a)結晶粒度による分類
粗粒キルド鋼:オーステナイト結晶粒度で粒度番号5未満のキルド鋼をいう。
細粒キルド鋼:オーステナイト結晶粒度で粒度番号5以上のキルド鋼をいう。

b)脱酸剤による分類
シリコンキルド鋼
アルミ(ニウム)キルド鋼
シリコンアルミ(ニウム)キルド鋼

注記連続鋳造によるリムド相当鋼については、“リムド相当鋼”を参照。

14
計算質量

計算によって求められる鋼材の質量。基本質量、単位質量、一つの製品の質量、総質量の順序で計算する(JIS G 3191、JIS G 3192、JIS G 3193、JIS G 3194 など参照)。通常、鋼板、形鋼、棒鋼及び平鋼の質量に用いる。

15
結晶粒粗大化

Ac3をはるかに超える温度で結晶粒成長をもたらすに十分な時間行われる熱処理。

16
結晶粒微細化

鉄鋼製品の結晶粒を微細化し、結果的に起こる均一化を目的とした熱処理。
備考Ac3(過共析鋼においては Ac1)をわずかに超える温度に加熱し、この温度に長く保持することなく、適切な速度で冷却することからなる。

17
鋼塊

溶鋼を鋼塊用鋳型(インゴットケース)に鋳込み凝固させたもの、又は連続鋳造された鋼片。
通常は、熱間加工又は鍛造による後工程で、半製品又は製品に加工される。 
注記真空アーク又はエレクトロガススラグ法で再溶解され、鋳造された鋼塊を含む。

18
合金鋼

鋼の性質を改善向上させるため、又は所定の性質をもたせるために合金元素を1種又は2種以上含有させた鋼。 合金元素の含有率の基準は ISO4948-1 と若干異なるが、関税協力理事会(Customs Co-operation Council)の分類では化学成分が次の数値以上の鋼をいう。

便宜上、合金元素含有率の多少によって、高合金鋼又は低合金鋼ということもある。

19
合金工具鋼

炭素鋼にシリコン、マンガン、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、バナジウムなどの合金元素を 1 種類以上添加した工具鋼。
炭素工具鋼に対して焼入性、切削性能、耐衝撃性、耐摩擦性、不変形性、耐熱性などを必要に応じて改善した鋼で、用途によって切削工具用、耐衝撃工具、冷間金型用及び熱間金型用に区分される。

20
工具鋼

金属又は非金属材料の切削、そ性加工用などの各種ジグ・工具に用いる鋼の総称。用途が広く、要求性能が多岐にわたるので種類が非常に多い。
一般には化学成分及び性能を考慮して炭素工具鋼、合金工具鋼、及び高速度工具鋼に分類される。

21
硬鋼線

硬鋼線材を用い、通常、熱処理後伸線など冷間加工して仕上げた鋼線。
ばね、針、スポークなどの製造に用いる。

22
硬鋼線材

炭素含有率0.24~0.86%の炭素鋼線材。
硬鋼線、ばね用オイルテンパ線、PC 硬鋼線、亜鉛めっき鋼線、亜鉛めっき鋼より線、溶融アルミニウムめっき鋼線、ワイヤロープなどの製造に用いる。

23
鋼材

圧延、鍛造、引抜き、鋳造など各種の方法で所要の形状に加工された鋼の総称。鋼塊及び鋼片は含まない。

24
公称寸法

商取引上用いられる鋼材の寸法。呼び寸法ともいう。

25
高周波焼入れ

加熱が誘導によって行われる表面硬化処理。
備考主に鉄鋼の任意の表面又は部分を焼入れする場合に用いる。
鉄鋼の高周波焼入焼戻加工は、JIS B 6912 に規定されている。

26
高速度工具鋼

高炭素鋼にクロム、モリブデン、タングステン、バナジウム、コバルトなどの合金元素を比較的多量に添加し、切削工具、金型などに用いる工具鋼。

27
構造用鋼材

建築、橋、船舶、車両、及びその他の構造物用として強度及び必要に応じて溶接性を重視して製造された鋼材。
注記機械構造用鋼材については“機械構造用炭素鋼鋼材”、“機械構造用合金鋼鋼材”を参照。

28
高張力鋼

建築、橋、船舶、車両、自動車その他の構造物用及び圧力容器用として、通常、引張強さ 490 N/mm2以上で溶接性、切欠きじん性及び加工性も重視して製造された鋼材。 冷延鋼板では引張強さ 340 N/mm2以上を高張力鋼という。

29
鋼片

鋼塊を圧延若しくは鍛造することによって、又は連続鋳造によって得られる、長さ方向に一定の断面形状をもつ半製品。一般には、次の工程で熱間圧延又は熱間鍛造を行って、仕上げ製品に加工することを意図したもの。
断面の形状及び寸法によってスラブ、ブルーム、ビレット、シートバーなどに分類される。

30
高マンガン鋼

一般にマンガン11%以上を主合金成分とし、オーステナイト組織を示す非磁性の合金鋼。冷間加工による硬化が大きいので耐摩耗性部品に用いる。
また、非磁性という特性をもつことから電磁気部材にも用いる。

31
鋼矢板

両縁に水密性の継手をもち、水、土壌などの仕切り壁を構成するために用いられる形鋼。断面の形状によって、U形、Z形、直線形、H形、ハット形などの種類がある。
熱間圧延による鋼矢板のほか、鋼管に継手部材をつけた鋼管矢板、鋼板を冷間加工した簡易鋼矢板などもある。
注記ISO 6929 では、ほかに組立矢板及び箱形矢板がある。

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さ行

1
サブゼロ処理

焼入れ後、残留オーステナイトをマルテンサイトに変態させるために行う熱処理で、常温よりも低い温度へ冷却し、その温度で均熱する熱処理。
備考深冷処理ともいう。

2
残存きずの許容限度

きず取り後の鋼材に存在するきずで、使用上差し支えないきずの大きさ、数などの限度。

3
残留オーステナイト

焼入硬化後、常温において残留する未変態オーステナイト。

4
残留応力

外力又は熱こう配がない状態で、金属内部に残っている応力。
備考熱処理のときに、材料の内外部で、冷却速度の差による熱応力又は変態応力が生じ、これらが組み合わされて、内部に応力が残留する。また、冷間加工、溶接、鋳造などによっても残留応力を生じる。

5
軸受鋼

転がり軸受の球、ころ、内輪及び外輪に使用する合金鋼。高速で変動する繰返し荷重に耐える必要性から高い疲れ強さと耐摩耗性が要求されるので、鋼の清浄度や組織の均一性を重視して製造する。
一般に高炭素クロム鋼が、代表的鋼種である。
注記ISO 6929 では高炭素クロム鋼のほか、はだ焼鋼、高周波焼入鋼、ステンレス鋼及び高温用鋼も軸受鋼として扱っている。

6
試験片

規定の寸法をもち、所定の試験に供する状態の供試材の一部分(JIS G 0404 参照)。

7
磁石鋼

クロム、アルミニウム、ニッケル、コバルトなどの合金元素を添加した合金鋼で、焼入硬化、析出硬化などによって保磁力と残留磁束密度の高い永久磁石特性をもつ鋼。

8
質量の許容差

計算質量と実測質量との差を計算質量で除して百分率で表したもの(JIS G 3192、JIS G 3194 など参照)。

9
絞り用鋼板

自動車部品、電気機械部品、車両部材、建築部材などに用いる冷間成形性を重視して製造した薄鋼板。

10
自由鍛造品

特別な金型を使用せず、上下金敷だけで火造りによって製造した鍛造品。一般に火造品ともいう。自由鍛造にはハンマ又はプレスを使用する。
注記ISO 6929 では、鍛造品(自由品)[forged products (open die)]として、“適切な温度で圧力をかけて鋼を自由鍛造で成形して得た製品。一般に機械加工で最終の形にする。”と定義される。

11
純鉄

炭素その他の不純物元素が、非常に少ない鉄。不純物元素の限界についての明確な区分はないが、炭素含有率0.02  %程度まで純鉄と称されている。
注記電解鉄、アームコ鉄、カーボニル鉄及び還元鉄は、純鉄として取り扱われている。

12
条鋼

形鋼、鋼矢板、平鋼、棒鋼などの形状に成形加工した鋼材。一般に、箱形のカリバー圧延機又はユニバーサル圧延機で熱間にて圧延する。

13
じん性

粘り強くて、衝撃破壊を起こしにくいかどうかの程度。

14
浸炭

オーステナイト中に固溶している状態の炭素を、表面に富化させるために鉄鋼製品にオーステナイト状態で適用される熱化学処理。
備考1.浸炭した鋼は、焼入焼戻しを行って使用することが普通である。この処理を肌焼き (case hardening)ということもある。 備考2.浸炭剤の種類によって固体浸炭、液体浸炭及びガス浸炭に分けられる。

15
浸炭窒化

オーステナイトでは固溶状態にある炭素及び窒素の表面に増加させるために、Ac1を超える温度に鉄鋼製品を加熱する熱化学処理。
備考1.一般に、この操作はその後直ちに焼入硬化を伴う。
備考2.処理方法には、浸炭性ガスにアンモニアを添加して行うガス浸炭窒化などがある。
備考3.浸炭浸窒ともいう。

16
真直度

鋼材の長手方向の基準直線からのずれの大きさ。
PC 鋼棒では、長さ1m に対する弧の最大高さをいう(JIS G 3137参照)。

17
ステンレス鋼

クロム含有率を10.5%以上、炭素含有率を1.2%以下とし、耐食性を向上させた合金鋼。
常温における組織によってマルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト系、オーステナイト・フェライト系及び析出硬化系の5種類に分類される。

18
スラブ

"厚さが50mm以上で、幅の厚さに対する比率が2以上の板状鋼片。鋼板及び鋼帯の圧延素材として使用される。
注記  ISO6929の定義では、幅の厚さに対する比率が4を超えるスラブは、“広幅スラブ”と呼ぶ。

19
ぜい性

一般に硬くてもろく、変形能の小さい性質。通常、衝撃試験における衝撃値の大小又は破面の状況によって比較される。

20
製品分析値

鋼材から採取した分析試料について行った化学成分の分析値。

21
析出硬化

過飽和固溶体からの 1 種以上の化合物の析出による鉄鋼製品の硬化。

22
セミキルド鋼

鋼塊鋳造による鋼の分類であり、脱酸剤としてフェロマンガン、フェロシリコン、アルミニウムなどの適量を添加して、リムド鋼とキルド鋼の中間程度の脱酸を行った鋼。
凝固進行に伴って、若干の気泡を発生させ、凝固による収縮孔を少なくしたものである。

23
セメンタイト

Fe3Cの化学式で示される鉄炭化物。

24
線材

棒状に圧延した鋼で、断面が円、だ(楕)円、正方形、長方形、六角形、八角形、半円形などで、コイル状に巻いた鋼材。一般に呼称径が 5 mm 以上で平滑な表面をもち、後続の加工を意図したものである。
なお、線材と同じ工程で製造される棒鋼用途のバーインコイルを製造工程で棒鋼と区別するために線材と呼ぶことがあり、統計上も線材として扱われている。
注記線材は伸線加工を行って線(wire)にするもとの鋼材であり、線と区別するために、ワイヤーロッド(wire rod)とも呼ぶ。

25
粗鋼

鋼塊(連続鋳造鋼片又は鋳片を含む。)及び鋳鋼の総称。統計用語として用いる。生産統計では、粗鋼は次のように表される。
圧延用鋼塊(インゴットケース及び連続鋳造によるもの)+鍛鋼用鋼塊+鋳鋼鋳込
注記ISO 6929 の“Crude products”の定義では、溶鋼又は鋼塊のいずれかの状態の製品としている。

26
ソルバイト

マルテンサイトをやや高い温度に焼戻しして粒状に析出成長したセメンタイトとフェライトの混合組織で、セメンタイト粒子が約 400 倍の光学顕微鏡下で認められる組織(焼戻トルースタイト)。
又は、焼入れの際に 600∼650℃以下の温度で生成した微細パーライト組織(焼入ソルバイト)。
備考現在では、あまり用いられない用語である。

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た行

1
耐候性

低合金鋼などが自然環境の大気中での腐食に耐える性質。塗装鋼板及び塩化ビニル被覆鋼板では樹脂の劣化に耐える性質も含む。

2
耐候性圧延鋼材

大気中において通常の鋼に比べてちみつなさびを形成しやすく、腐食速度を低減することができる圧延鋼材。

3
耐食性

ある環境における腐食作用に耐える性能。

4
耐熱鋼

高温における各種環境で耐酸化性、耐高温腐食性又は高温強度を保持する合金鋼。数%以上のクロムのほか、ニッケル、コバルト、タングステン、及び/又はその他の合金元素を含むことが多い。
主としてその組織によってマルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト系及び析出硬化系の四つに分類される。
なお、合金元素の含有率の合計が約 50%を超える場合は、一般に超合金、耐熱合金又は超耐熱合金と呼ばれる。

5
耐熱性

高温において耐酸化性に優れ、又は高温強度に優れている性質。

6
耐摩耗性

相対運動する金属面の機械的引っかき、金属的粘着などが総合されてその面が損耗する現象を摩耗といい、これに耐える性質。

7
脱炭

鉄鋼製品の表面における炭素の欠乏。
備考この欠乏は、部分的(部分的脱炭)か、名目上完全(完全脱炭)かのいずれかである。二つの形式の脱炭(部分的及び完全)の和は、全脱炭と呼ばれる(ISO 3887 参照)。

8
脱炭処理

鉄鋼製品の脱炭を意図した熱化学処理。

9
鍛鋼品

適切な鍛錬成形比を与えるように鋼塊又は鋼片を鍛錬成形し、通常、所定の機械的性質を与えるために熱処理を施したもの。

10
炭素鋼

鉄と炭素の合金で炭素含有率が、通常0.02~約 2 %の範囲の鋼。少量のけい素、マンガン、りん、硫黄などを含むのが普通である。
便宜上、炭素含有量又は硬さ(強度も含まれる。)によって炭素鋼は、更に次のように分類される場合がある。
炭素含有量による分類:低炭素鋼、中炭素鋼、高炭素鋼
硬さによる分類:極軟鋼、軟鋼、硬鋼

11
炭素工具鋼

0.55~1.50%の炭素を含有し、特別に合金元素を添加しない工具鋼。

12
炭素当量

"炭素以外の元素の影響力を炭素量に換算したもの。
引張強さに対する炭素当量、溶接部最高硬さに対する炭素当量などがよく用いられる。
JIS では溶接性に関し、次の式を採用している。



注記ISO 規格では、Ceqの代わりに CEV (Carbon equivalent value)で表し、次の式を用いている。ただし、ISO 24314 には JISの式も採用されている。

13
鍛錬成形比

鍛錬作業による変形の大きさの度合。 一般には鍛造前の断面積と鍛造終了後の断面積との比に作業種類記号を添えて表される。

14
窒化

相対運動する金属面の機械的引っかき、金属的粘着などが総合されてその面が損耗する現象を摩耗といい、これに耐える性質。

15
耐摩耗性

窒素の表面富化を生じるように鉄鋼製品に適用される熱化学処理。
備考1.窒化の行われる媒体を規定すること、例えば、気体、プラズマなど。
備考2.処理方法には、アンモニア分解ガスによるガス窒化及び青酸塩による液体窒化がある。

16
窒化鋼

アルミニウム、クロム、モリブデンなどを含有し、窒化処理して表面硬化させる鋼。主に機械構造用に使用する。

17
中空鋼

主として、さく岩機用ロッドに使用する中空の棒鋼。断面形状は丸形又は六角形などであり、鋼種は主として炭素工具鋼、強じん鋼、又は肌焼鋼(浸炭処理を行って使用)などを用いる。

18
鋳鉄

鉄と炭素を主成分として、一般に約2%を超える炭素と、その他の成分を含むもの。

19
調質

焼入れ後、比較的高い温度(約 400℃以上)に焼き戻して、トルースタイト又はソルバイト組織にする操作。

20
疲れ強さ

反復する応力によって生じる破壊に耐える性質。

21
継目無鋼管

鋼塊又は鋼片から熱間で圧延、押出し若しくは押抜きによって製造されるか、又はせん孔後機械仕上げによって製造される継目のない鋼管。なお、継目無鋼管を冷間引抜き又は冷間圧延したものを冷間仕上継目無鋼管という。

22
T形鋼

Tの字に似た断面をもった形鋼。

23
低温焼なまし

残留応力の低減又は軟化を目的として、変態点以下で行う焼なまし。再結晶温度以下で行う場合もある。

24
定尺(ていじゃく)

標準寸法と同義語であるが、通常標準寸法よりも更に集約化された寸法。
なお、鋼管、棒鋼、形鋼などは長さに対してだけ用いる。

25
鉄筋コンクリート用棒鋼

コンクリート補強用として強度及び必要に応じて、溶接性及び圧接性を重視して製造された棒鋼。丸鋼、異形棒鋼の2種類がある。

26
鉄線

軟鋼線材を用い伸線など冷間加工して仕上げた鋼線及びこれに熱処理(中間焼なまし又は焼なまし)を行ったもの並びにローラなどで異形加工を行った製品の総称。鉄線には普通鉄線、くぎ用鉄線、なまし鉄線及びコンクリート用鉄線がある。
亜鉛めっき鉄線、くぎ、溶接金網などの製造に用いる。

27
電気めっき鋼板及び鋼帯

電気化学的に析出(電着)する方法で金属被覆した鋼板及び鋼帯。

28
電気抵抗溶接鋼管

鋼帯又は鋼板を筒状に成形した後、電気抵抗溶接法によって継目部を溶接して製造され、管の長手方向に平行な1本の溶接線をもっている鋼管。
電気抵抗溶接鋼管を熱間絞り圧延したもの及び熱間での電気抵抗溶接法において製造されたものを熱間仕上電気抵抗溶接鋼管といい、冷間引抜き又は冷間圧延したものを冷間仕上電気抵抗溶接鋼管という。

29
等温変態曲線

各温度におけるオーステナイトの等温変態の開始及び終了を図示した一群の曲線。縦軸に温度、横軸に時間(対数目盛)をとって表す。
備考1.TTT 図のこと。 備考2.オーステナイトの変態率が50%に達する点を補足的な曲線で示す。 備考3.図中には生成する変態組織の種類及び硬さについての情報も併せて示す。

30
トルースタイト

マルテンサイトを焼戻ししたとき生じる組織で、光学顕微鏡では識別できないほどの微細なフェライトとセメンタイトからなる組織(焼戻トルースタイト)。又は、焼入れの際に600℃以下の温度で生成した微細パーライト組織(焼入トルースタイト)。
備考現在では、あまり用いられない用語である。

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な行

1
軟化焼なまし

鉄鋼製品の硬さを所定の水準まで低下させる目的でAc1変態点近傍の温度に加熱する熱処理。

2
軟鋼線材

炭素含有率0.25%以下の炭素鋼線材。

3
熱間圧延鋼板

圧延機によって、熱間で圧延した鋼板。熱間圧延鋼帯からの切板及び熱加工制御を行った鋼板も含む。
注記熱加工制御は、MCPと呼ぶことがある。

4
熱間圧延棒鋼

圧延機によって、熱間で圧延した棒鋼。熱加工制御を行った棒鋼も含む。バーインコイルも含めていうことがある。

5
熱間鍛造品

再結晶温度以上の適切な温度で鍛錬成形した鍛造品。

6
熱処理

固体の鉄鋼製品が全体として又は部分的に熱サイクルにさらされ、その性質及び/又は組織に変化をきたすような一連の操作。
備考鉄鋼製品の化学成分がこの操作の間に変化することもある。

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は行

1
はだ(肌)焼鋼

機械構造用の低炭素鋼及び低炭素合金鋼で、主として浸炭焼入れによって表面硬化させて用いる鋼材。

2
ばね鋼

シリコンマンガン系、マンガンクロム系、クロムバナジウム系などの鋼で、主として重ね板ばね、コイルばねなどに熱間成形し熱処理を行ってばね特性を付与した鋼。
広義のばね鋼としては、ピアノ線、硬鋼線、ステンレス鋼線、オイルテンパ線、冷間圧延鋼帯などのように冷間加工及び熱処理によってばね性能を高め、そのまま線ばね、薄板ばねなど小物ばねに成形する鋼も含む。

3
バーインコイル

"熱間圧延した比較的小径(通常、径が5mm以上50mm以下)の棒鋼を長尺のままコイル状に巻いた鋼材。断面の形状は円形、正方形、六角形などを含む。
注記バーインコイルは、棒鋼用途であり、線材とは材質及び用途が異なるが、外観上は線材と区別できないため、線材と呼ぶことがある。また、線材と同じ圧延ラインで製造されるため、統計上は、線材として扱われる。
なお、狭義には、バーインコイルは、普通鋼の場合だけを指し、特殊鋼の場合は線材と呼び、区別することがある。

4
パーライト

オーステナイトの共析分解によって形成されるフェライトとセメンタイトの層状集合体。

5
PC鋼線

ピアノ線材を用い、通常、パテンチング後伸線などの冷間加工及びブルーイングをして仕上げた鋼線。
プレストレストコンクリートに用いる。断面の形状は、円形及び異形がある。

6
PC鋼棒

熱間圧延したキルド鋼を用いホットストレッチング、冷間引抜き、熱処理のいずれかの方法又はこれらの組合せによって仕上げられた鋼棒。
プレストレストコンクリートに用いられ、断面の形状は、円形及び異形である。

7
ピアノ線

ピアノ線材を用い、通常、パテンチング後伸線など冷間加工して仕上げた鋼線。
高級ばね、タイヤコードなどの製造に用いる。

8
ピアノ線材

通常、炭素含有率0.60~0.95%の良質な高炭素鋼線材。
ピアノ線、弁ばね用オイルテンパ線、PC鋼線、PC鋼より線、ワイヤロープなどの製造に用いる。

9
非磁性鋼

炭素、マンガン、ニッケル、クロム、窒素などを主な合金成分とし、オーステナイト組織を示す非磁性の合金鋼。組成的には、高マンガン系、高ニッケル系及びこれらの中間タイプの 3 種に大別される。
例えば、発電機、継電器などの電磁気部材、核融合設備、リニアモーターカーの部材などに用いる。

10
ひずみ取り焼なまし

鋼材又は鋳物に生じたひずみを除去するために、荷重をかけながら変態点以下の温度に加熱保持して行う焼なまし。

11
標準寸法

使用実績、標準数列などを考慮してある程度集約化した鋼材の寸法。製品規格において標準寸法が示された場合、それは、通常、その寸法で取引することを推奨していることを意味している。

12
表面硬化処理

表面加熱後の焼入硬化処理。
備考浸炭焼入れ、窒化、高周波焼入れ、炎焼入れなどがある。

13
表面処理鋼板及び鋼帯

表面に金属又は非金属を被覆した鋼板及び鋼帯。被覆方法及び被覆材の種類によって溶融めっき、電気めっき、塗装などに分けられる。

14
平鋼

棒状に圧延した鋼で、断面が長方形をしており、断面の四つの面とも圧延した面をもち、厚さ(t)は一般に5mm以上、幅は500mmを超えない板状の棒鋼。
ばね鋼では平鋼の相対する短辺が円弧状(円弧Rが約 0.5t)のものを丸こば(平鋼)と呼ぶ。
熱間圧延した平鋼を特に熱間圧延平鋼、冷間圧延した平鋼を冷間圧延平鋼と呼ぶ。
注記ISO 6929 では、幅は150mmを超えないとしている。

15
ビレット

"断面が、角形(正方形及び長辺が短辺の2倍以下の長方形)又は円形の一定サイズの鋼片。正方形ビレット(square billets)、長方形ビレット(rectangular billets)及び円形ビレット(round billets)があり、通常、一辺又は直径の寸法が50mm以上で200mm以下の鋼片。
注記ISO6929 では、正方形ビレットとして1辺が一般に50mm以上で200mm以下のもの、及び長方形ビレットとして断面積が 2,500㎟以上、14,400㎟以下の断面積をもち、幅の厚さに対する比率が1を超え2未満のもの、として定義される。

16
フェライト

1種以上の元素を含むα鉄又はδ鉄固溶体。
備考δ鉄の固溶体をδフェライトともいう。

17
フェライト系ステンレス鋼

クロムを10.5%以上含有し、常温でフェライト組織を示すステンレス鋼。SUS430がその代表的なものである。

18
深絞り性

ダイス面上の素材がダイス穴内へ絞り込まれ得る程度。その程度によって、絞り性、深絞り性、及び超深絞り性に区別して呼ばれることもある。

19
深絞り用鋼板

自動車部品、電気機械部品などに用いる冷間での良好な深絞り加工性及び絞り加工後の表面の肌荒れ防止を重視して製造した薄鋼板。

20
ブルーム

正方形ブルーム(square blooms)、長方形ブルーム(rectangular blooms)及び円形ブルーム(round blooms)があり、通常、一辺又は直径の寸法が200mmを超える鋼片。
注記ISO6929では、正方形ブルームとして1辺が120mmを超えるもの、及び長方形ブルームとして14,400㎟を超える断面積をもち、幅の厚さに対する比率が1を超え2未満のもの、として定義される。

21
ベイナイト

パーライトが形成される温度と、マルテンサイトが形成され始める温度との間の温度間隔で起こるオーステナイトの分解によって形成される準安定構成物で、炭素がセメンタイトの形を取って微細に析出しているフェライトからなる。
備考一般に、上記の温度間隔の高温で形成される上部ベイナイトと上記の温度間隔の低温で形成される下部ベイナイトを区別する。

22
偏径差及び偏差

同一断面における径、辺又は対辺距離の最大値と最小値との差。円形断面の鋼材の場合は径の差を偏径差といい、角鋼の場合は辺、六角鋼及び八角鋼の場合は対辺距離の差を偏差という。

23
偏析

合金元素や不純物が不均一に偏在している現象又はその状態。

24
変態温度

相変化の起こる温度で、変態が温度範囲にわたって起こるときは、変態が開始し、終了する温度。
備考鋼については、次のような主要な変態温度が区別される。 Ae1:オーステナイトの存在下限を定義する平衡温度 Ae3:フェライトの存在上限を定義する平衡温度 Aem:過共析鋼においてセメンタイト存在上限を定義する温度 Ac1:加熱時、オーステナイトが生成し始める温度 Ac3:加熱時、フェライトがオーステナイトへの変態を完了する温度 Acm:加熱時、過共析鋼中のセメンタイトが完全に溶解する温度 Ar1:冷却時、オーステナイトがフェライト又はフェライト、セメンタイトへの変態を完了する温度 Ar3:冷却時、フェライト変態が始まる温度 Arm:過共析鋼において、オーステナイトの冷却の間、セメンタイトが生じ始める温度 Ms:冷却の間にオーステナイトがマルテンサイトに変態し始める温度 Mf:冷却の間、オーステナイトがほとんど完全にマルテンサイトに変態した温度 Mx:冷却の間に、オーステナイトの x%がマルテンサイトに変態した温度

25
変態点

特定の合金の変態温度。

26
ボイラ用鋼材

ボイラ及び圧力容器用として高温強度及び溶接性を重視して製造された鋼材。通常、ボイラ及び圧力容器の主要部分に使用される。

27
棒鋼

棒状に熱間圧延又は鍛造した鋼で所定の長さに切断した鋼材。断面の形状によって、丸鋼(円形)、角鋼(正方形)、平鋼(長方形)、六角鋼(六角形)、八角鋼(八角形)、異形棒鋼(特殊形状)などがある。
なお、コイル状に巻いたバーインコイルは、製造工程から統計上線材に含められるが、本来の用途は棒鋼である。

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ま行

1
丸鋼

棒状に圧延又は鍛造した鋼で、断面が円形をしており、直径が一般には8mm以上の棒鋼。

2
マルテンサイト

元のオーステナイトと同じ化学組成をもつ体心正方晶又は体心立方晶の準安定固溶体(α'又はαMと略記)。
備考オーステナイトを急冷した場合に、Ms 点以下の温度で拡散を伴わずに変態して生じる。

3
マルテンサイト系ステンレス鋼

フェライト系ステンレス鋼の炭素含有量を高め、熱処理によってマルテンサイト組織とすることによって、硬化させることのできるステンレス鋼。SUS410がその代表的なものである。

4
みがき棒鋼

鋼材を冷間引抜き、研削、切削、冷間圧延又はこれらの組合せによって仕上げ、表面品質及び寸法精度を向上させた棒鋼。断面の形状によって、丸(材)、角(材)、六角(材)、平(材)などがある。

5
溝形鋼

Uの字に似た断面をもった形鋼。

6
水焼入れ

冷却に水を用いて行う焼入れ。

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や行

1
焼入れ

鉄鋼製品を静止空気中よりもより迅速に冷却することからなる操作。
備考冷却条件を規定する用語の使用が推奨される。例えば、衝風冷却、水焼入れ、階段焼入れなど。

2
焼入性 (JIS G0201)

鋼がマルテンサイト又はベイナイトなどへ変態しやすいことによって焼入硬化が得やすいことを表す性能。
備考焼入性は、通常、ジョミニー曲線のような、焼入れによって得られる硬化と焼入表面からの距離との関係で特徴づけられる。焼入性試験方法については、JIS G 561を用いると便利である。

3
焼入性 (JIS G0203)

鋼材を焼入硬化させた場合の焼きの入りやすさ、すなわち焼きの入る深さと硬さの分布を支配する性能。
焼入性は通常、焼きの入る深さの大小で比較するが、それには焼入性試験方法(一端焼入方法)を用いるのが便利である(JIS G561参照)。 ほかにもシェファード P−F 試験、SAC 焼入性試験などがある。

4
焼なまし

適切な温度に加熱及び均熱した後、室温に戻ったときに、平衡に近い組織状態になるような条件で冷却することからなる熱処理。
備考この定義は非常に一般的であるので、処理の目的を規定する表現を使用することが推奨される(光輝焼なまし、完全焼なまし、軟化焼なまし、変態域焼なまし、等温焼なまし及び変態点下焼なまし参照)

5
焼ならし

オーステナイト化後空冷する熱処理。
備考その目的は、前加工の影響を除去し、結晶核を微細化して、機械的性質を改善することである。 鉄鋼の焼ならし加工は、JIS B 6911 に規定している。

6
焼戻し

一般に焼入硬化後、又は所要の性質を得るための熱処理後に、特定の温度(Ac1未満)で、1回以上の回数均熱した後、適切な速度で冷却することからなる熱処理。
備考焼戻しは、一般に硬さの低下をもたらす。しかし、硬度上昇を起こす場合もある(二次硬化参照)。

7
焼割れ

焼入応力によって生じる割れ。

8
山形鋼

Lの字に似た断面をもった形鋼。
  二辺の長さ及び厚さが各々等しいか又は異なるかによって等辺山形鋼、不等辺山形鋼、又は不等辺不等厚山形鋼という。

9
溶鋼

鋳造準備のできた液体状態の鋼。
溶鋼には、主に、鋼塊用鋳型(インゴットケース)ヘ注入するか、連続鋳造するためのもの、及び鋳鋼品用のものがある。

10
溶鋼分析値〔とりべ分析値〕

一般に溶鋼がとりべから鋳型に注入され、凝固するまでの過程で採取した分析試料a)について行った分析値。
溶鋼を代表する化学成分を示し、鋼材の化学成分は、通常、溶鋼分析値[又はとりべ分析値b)]で示される。

注a)  真空アーク(VAR)、エレクトロスラグ再溶解(ESR)、粉末や(冶)金など溶鋼分析試料が採取できない場合は、鋼塊、鋼片又は鋼材から採取した分析試料によって分析を行い、溶鋼分析に代わって溶鋼の代表値を決めることができる。
注b)  とりべ分析値という用語は、できるだけ用いないのが望ましい。

11
溶接性

鋼材の材質が溶接に適しているかどうかの程度。
注記溶接性の評価指標として、例えば、炭素当量、溶接割れ感受性組成などを規定する場合がある(JIS G 3136、JIS G 3475など参照)。

12
溶融めっき鋼板及び鋼帯

溶融した金属の中に浸して金属被覆した鋼板及び鋼帯。

13
呼び寸法〔呼称寸法〕

商取引上用いられる鋼材の寸法。単に寸法ともいう。通常、規格では“呼び”を省略し、単に厚さ、幅、外径などで表す。実際の寸法の許容差の基準値となる。

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ら行

1
理想臨界直径

理想焼入れ(焼入剤の冷却能を無限大と仮定した場合の焼入れ)したときの臨界直径。
備考通常、Diの記号を用い、焼入性の比較基準とする。

2
リムド鋼

鋼塊鋳造による鋼の分類であり、鋳型(インゴットケース)内で溶鋼中の酸素と炭素とが作用して一酸化炭素を発生し、溶鋼が特有の沸騰かくはん(攪拌)運動(リミングアクションという。)をしながら凝固した鋼。
脱酸剤としてフェロマンガン、少量のアルミニウムなどを加えて造った鋼。
表層部は清浄であるが、表層以外には偏析がある。

3
リムド相当鋼

リムド鋼の代替として連続鋳造で弱脱酸して製造される鋼。主として、低炭素鋼線材に適用される。

4
臨界直径

与えられた条件下での焼入れによって、その中心部において 50%マルテンサイト組織をもつ長さ 3d(d は直径)以上の丸棒の直径。
備考通常、D0の記号を用いる。

5
冷間圧延鋼板

冷間圧延機で圧延した鋼板。
注記ISO 6929 では、冷間圧延で断面積を少なくとも25%減少した鋼板。

6
冷間圧造用ボロン鋼線材

冷間圧造用ボロン鋼線の製造に用いるボロン鋼線材。
炭素0.37%以下、マンガン1.50%以下を含有し、更に焼入性を向上させるため、微量のほう素(ボロン)を含有させた鋼材。

7
冷間圧造用合金鋼線材

冷間圧造用合金鋼線の製造に用いる合金鋼線材。
冷間圧造用合金鋼線材には、マンガン鋼、マンガンクロム鋼、クロム鋼、クロムモリブデン鋼、ニッケルクロム鋼及びニッケルクロムモリブデン鋼の鋼材を使用する。

8
冷間圧造用炭素鋼線材

冷間圧造用炭素鋼線の製造に用いる炭素鋼線材。
炭素0.53%以下及びマンガン1.65%以下を含有し、脱酸の方法によって、リムド相当鋼(リムド鋼を含む)、キルド鋼、アルミキルド鋼などがある。

9
冷間鍛造品

冷間で鍛錬成形した鍛造品。

10
レール

鉄道、その他の軌道などに用いられる鋼材。一般用と特殊用とに分けられ、更に一般用は、普通レールと軽レールとに分けられる。特殊用は、車両以外のクレーン、エレベーターなどの軌道として用いられる。地下鉄道などで架線の代わりに用いるレールを第 3 レールという。
通常、1m当たりの質量で表示し、呼称する。

11
六角鋼

棒状に圧延又は鍛造した鋼で、断面が六角形をしており、対辺距離が一般には14mm以上の棒鋼。

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わ行

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